ヨーロッパの食文化では欠かすことのできないチーズ。日本では戦後から本格的に輸入・製造されるようになり、今では年間に35万トン以上も消費されています。しかし、チーズって身体に良くないのでは?という印象を持っている人も少なくないでしょう。この記事ではそんなチーズの印象を変える、想像以上の健康効果をご紹介します。
チーズに含まれる豊富な栄養
チーズの栄養成分は大きく4つ。たんぱく質、脂質、ビタミン、カルシウムです。
○たんぱく質
たんぱく質は身体を作る構成要素であり、酵素やホルモンの材料にもなります。不足すると様々な病気にかかりやすくなります。
そしてチーズの熟成の間に生まれるたんぱく質分解酵素により、一部はアミノ酸にまで分解されて消化吸収がしやすくなります。中でもラクトトリペプチドと呼ばれるアミノ酸がつながったペプチド(アミノ酸が2〜10個程度つながったもの)は血圧の上昇を抑制し、血管の硬化を防ぐ効果があります。
○脂質
脂質は炭水化物、たんぱく質に並ぶエネルギーを作り出す栄養素です。
脂質はリパーゼという酵素によって遊離脂肪酸に分解されます。チーズは他の食品より脂質の消化吸収率が高く、吸収率は95%以上だと言われています。
○ビタミン
ビタミンAやビタミンB2が豊富です。
ビタミンAは眼や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあります。また、摂取不足になりやすいビタミンB2を効率よく摂取できるのがチーズです。ビタミンB2は特に脂質の代謝を促し、皮膚や髪の毛の細胞の再生に役立ちます。
○カルシウム
骨や歯の主要な構成成分になるのに加え、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制などに影響を与えています。
たんぱく質とカルシウムを同時に摂取することで、カルシウムの吸収が促進されます。小魚などのカルシウムに比べても吸収効率が良いとされています。
チーズによる健康効果5選
○血管年齢を若返らせる
たんぱく質のところでも触れましたが、チーズには血管の硬化を防ぐ効果があります。血管の硬化は、不整脈や心臓病のリスクにつながります。チーズを食べることでこれを予防することができます。
○高血圧を予防する
たんぱく質のところで紹介したラクトトリペプチドには血圧を下げる効果があります。またチーズにはカリウムも含まれているため、塩分の取りすぎを抑制できます。万病の元ともいわれる高血圧はぜひ予防していきたいところです。
○骨を丈夫に、若さを保つ
乳製品といえばなんといってもカルシウム。チーズでも、もちろん効率よくカルシウムを先取できます。若さの基本は骨からとも言われています。骨が弱ると一気に身体が衰えてしまいます。いつまでも健康でいるためには、骨を丈夫にしていきましょう。
○お肌が綺麗になる、美容効果
チーズは体内で作ることのできない必須アミノ酸がバランス良く含まれています。アミノ酸は肌や髪の毛、爪などを美しく保つのに欠かせません。チーズを食べることでバランス良く、摂取することができます。
○血糖値を下げる
チーズは実は低GI食品です。その値は30〜33程度。きのこや大豆と同程度だと言われています。(GI値とは食品に含まれる糖質吸収度合いを示す数値です。55以下で低GI食品です)
食事をするともちろん血糖値が上がりますが、急激な上昇は良くないとされています。健康に悪いだけではなく、肥満につながる原因とも言われています。チーズを取り入れることで急激な血糖値の上昇は防ぐことができます。
食べ過ぎには要注意!チーズと塩分
ここまで、チーズの意外すぎる良い効果を紹介してきました。では、身体に悪い影響は全くないのでしょうか?
チーズを食べる上で気をつけなければいけないのが食べ過ぎによる「塩分」です。日本人は普段の食事で塩分を取りすぎだと言われています。そこにチーズを食べ過ぎれば、塩分過多が進み、血管の硬化や高血圧などにつながる恐れがあります。
プロセスチーズであれば、1日にスライスチーズ2枚分程度が適量だと考えられます。また、ナチュラルチーズは種類や作り方によって、塩分量は様々です。
身体に良い働きをするものであっても食べ過ぎは良くないということです。
とはいえ、気をつけて食べれば健康効果が抜群のチーズ。しかも、発酵食品ですので、まだ知られていない健康効果が隠されているのではとも言われています。ぜひ適切な量のチーズを日々の生活に取り入れていきたいです。
さいごに
乳製品の健康効果は評価が分かれているものもあります。今回ご紹介したものは、実証実験で証明されているものをまとめています。
ナチュラルチーズは生乳・塩・乳酸菌・酵素のたった4つの原料から作られています。生乳が主原料なので、その栄養を余すことなく取り入れることができます。ぜひ美味しく健康に楽しいチーズライフを送っていきましょう。