ナチュラルチーズの専門家「フロマジェ」とは?

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日本にわずか80名ほどしか存在しないフロマジェ。
日本チーズアートフロマジェ協会が認定する資格のひとつで、チーズの知識と技術を兼ね備えたスペシャリストにのみ与えられる称号です。
今回はそのフロマジェの日本大会で優勝し、世界で3位に輝いたTOYO Cheese Factory長原ちさとさんにお話を伺いました。

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フロマジェについて。

――フロマジェという資格に聞き馴染みのない方も多いと思います。フロマジェについて教えてください。

「フロマジェ」という言葉自体はフランス語で、酪農家さん、チーズ職人、チーズ販売員などチーズに関わる仕事に従事する人全体を現す単語です。日本では「日本チーズアートフロマジェ協会」が定める、有資格者のことをフロマジェといいます。具体的には、チーズに関する知識と取扱方法、カッテイング技術やティスティング能力を持ち、シーンに合わせたチーズの提供と様々な食材や飲み物とのペアリングの企画・構成が出来るプロフェッショナルがフロマジェです。

――チーズに関する資格は他にも存在するかと思いますが、フロマジェの特徴や他資格との違いはありますか?

私も取得しているのですが、有名な資格でチーズプロフェッショナルというものがあります。ワインで言うところのソムリエのようなものと言われています。チーズプロフェッショナルが基本的には知識がメインとなっている一方で、フロマジェになるためには知識に加えて、カット技術やその盛り付け技術を身に着ける必要があります。そのためフロマジェは、テーマやシーンに沿った※【チーズプラトー】を提供することが出来ます。 ※フランス語で皿や盆を表す

――長原さんが作られたチーズの盛り付けは食べるのがもったいないと感じる美しさでした。この技術習得には多くの時間を要すると思うのですが、どれほどの学習期間が必要なのでしょうか?

私の場合、最短の6か月(当時は初級から段階を踏んでステップアツプする方法でした)で道内初の「フロマジェ」第1号を認定いただきました。ただ、フロマジェになる勉強をする前にチーズプロフェッショナルの資格を持っていましたので、ゼロベースで勉強を始めたとするともう少し時間がかかったと思います。

 

常にチーズに囲まれる日々。

――フロマジェを目指す中で大変だったエピソードがあれば教えてください。

これまでチーズ関連の勉強で大変だったことは本当に色々とあるのですが、一番はティスティング能力を身に着ける事です。世界大会では、そのチーズの名前、種類、原産国名、ミルクの動物の種類など答える項目がたくさんあるのですが、ここで本当に難しいのがチーズの熟成日数を答える問いです。

――味や匂いだけで熟成日数がわかるものなのでしょうか?

難しいのですが、それでも答えないといけないテストなんです。それもカビの部分がなくて、チーズの中身だけから判断しないといけないんです。例えばカマンベールチーズだと、EUでは最低21日間熟成しなければならないという規定があるのですが、この21日から何日熟成したのかを答えなければなりません。舌触りや色や味などを手がかりに、いつ製造されたチーズなのかを推測して日数を出すんです。それを見分けるためには、同じ種類のチーズでも何度も食べる必要があって、一時期は毎日3食全部チーズを食べていました。冷蔵庫の中には常にチーズがある状態で、チーズの勉強をしていてチーズが嫌いになったことはないのですが、今日はもう見たくない…という日はありましたね(笑)。

フロマジェの世界大会で、このテイスティングの回答を書くときにフランス語で書かないといけなくて、その勉強も本当に大変でした。多分人生で一番勉強したのではと感じています。

世界大会でテイスティングを行う長原さん

 

フロマジェの資格が活かされる場面。

――フロマジェの資格取得は、ビジネスでどのように役立っていますか?

みなさんにageチーズのブランドコンセプトや拘り、美味しさを知ってもらうために、全国の催事に出店させていただいていますが、培った知識や技術を生かし、チーズそのものの説明や保存方法、陳列の方法などを工夫しています。

興味を持ってくださった方に、チーズの食べ方や簡単な盛り付け方法などの提案ができるのも強みだと思います。ナチュラルチーズではなくて、市販のプロセスチーズを斜めにカットして重ねてあげるだけでも、きれいに見えることを提案したところとても喜んでいただけて、そんな瞬間は本当にフロマジェを取得して良かったと思いますね。

世界大会で長原さんが作成したチーズプラトー

 

これからフロマジェを目指す方へ。

――最後に、これからフロマジェを目指す方へメッセージをお願いします。

フロマジェを目指す方が増えることは、私にとってすごく嬉しいことです。ただ、いきなり高みを目指す場合は、難しく感じることも多いと思います。まずは食卓にチーズを並べる際に、果物や野菜を添えるようなところから始めてほしいと思います。チーズは白色や黄色が多いので果物や野菜の【色】を添えるだけでパッと華やかになりますし、見た目が美しい=美味しそう!につながると思います。十勝はチーズの一大生産地ですでの、みなさんにチーズに関心を持ってもらい、いつか北海道や十勝から世界に飛び出すフロマジェが出てくれれば本当に嬉しく思います。

TOYO Cheese Factoryの長原ちさとさんが手がける北海道十勝発のチーズブランド「age」
商品は公式オンラインストアで購入することが可能です。
age公式オンラインストアhttps://age-2020.com/

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