チーズ世界大会3位入賞 TOYO Cheese Factory長原ちさとさんのチーズにかける思い。

チーズを知る

フロマジェジャパン2021で優勝、第5回世界最優秀フロマジェコンクールで3位に輝いた長原ちさとさん。そんな彼女が本格的にチーズの世界に興味を持ったのは約10年前のこと。長原さんのチーズにかける思いを取材しました。

 

長原さんがチーズの専門家「フロマジェ」になるまで。

――チーズは以前からお好きだったのですか?

昔からチーズがすごく好きだったわけではないんです。もちろん食べることは人並みに好きでしたが、チーズのお仕事がしたいですとか、専門家になりたいといった思いはありませんでした。

――フロマジェを目指された経緯について教えてください。

約10年前、私が取締役を務めている東陽製袋株式会社では、経営多角化の一環としてチーズ事業に乗り出す検討をはじめました。ただ、包装資材などの製造を行う会社ですので、もちろん専門家は不在でチーズに関するノウハウもありませんでした。そこで白羽の矢が立ったのが私だったんです。社長からチーズの勉強をして欲しいと言われた時、当時は「やらされ感」しかなくかなりプレッシャーになっていました。チーズプロフェッショナルという資格を取得し、プラスアルファ、何か技術が必要だと感じチーズのカットに特化したフロマジェを目指し2019年3月に北海道で第1号に認定を受けました。

 

世界3位になって変わった考え方。

――世界3位になられて新たな気づきや変化はありましたか?

やっぱり、一番変わったのは考え方だと思います。支えてくれた仲間や家族に心からの感謝をする事が出来ました。最初はやらされ感しかなかったチーズの勉強も奥深さが理解できるようになり楽しくなりました。もちろん、それをきっかけに疎遠になっていた友人と会話できたり、SNSのフォロワーが増えたりといった対外的な変化はたくさんありました。今までなかったお仕事もいただくようになりました。例えばホクレンさんが発行している北海道ナチュラルチーズに関する書籍があるのですが、そちらの表紙を飾るチーズプラトーを作らせていただいたり、北海道芽室町長に表敬訪問をさせていただいたり、日経さん主催のシンポジウムに登壇させていただきました。このようなお仕事も世界3位になっていなければ、経験することのできないお仕事だったと思います。

それからは、日本でもフランスでもチーズに関して一流と呼ばれる方々と交流する機会も増えました。その中で、なんだか自分の今までの考え方がちっぽけというか、身の程を知らされたというか。勉強を始めた当初は、半ば義務感からだったという話をしましたが、現在ではチーズを学びたい、もっと新しいことを知りたいと自然と思えるようになりました。目には見えない変化ですけれど、自分にしかわからない、大きな変化だなと思いますね。

ほっかいどうナチュラルチーズのほん

ホクレン農業協同組合連合会 北海道牛乳普及協会発行 表紙のチーズプラトーは長原さんが作成

 

チーズのプロフェッショナルとして。

――長原さんの今後の目標を聞かせてください。

やはり、わたしたちが手掛けるチーズブランド「age」をもっとたくさんの方に知ってもらいたい思いが強いです。チーズプラトーを通して、見てくださる方に喜んでいただけることで、ageのチーズを知ってもらえたら素敵だなと感じています。他にも十勝や北海道にとどまらず、日本全国、いずれは世界にまで広めていきたいと思っています。すでに北海道のチーズは国際品評会でも高く評価されていて、ageチーズもこのような会に積極的に参加したいと思っています。

――ageのチーズ工場は国際食品安全規格の難関「FSSC22000」も取得されたと伺いました。海外進出以外にも展望がございましたら教えてください。

お子さんたちにチーズの魅力を知ってほしい思いが強いです。理想は学校給食へのチーズ提供賞味期限やアレルギーの問題もあり、ナチュラルチーズを給食に提供することは本当に難しいのですが、それでもこれからの社会を担っていく世代にチーズの魅力を知ってもらい、将来的には、今減少している酪農家さんやチーズ職人さん、ひいてはフロマジェを目指したいと思ってくれるお子さんが増えてくれると嬉しいなと思います。

FSSC22000 かんばん

工場前 衛生管理の徹底が評価される

――衛生面や使用される生乳にも強くこだわっているageのチーズをお子さんたちが食べることは食育の面でも価値のあることだと感じます。

チーズは北海道十勝を代表する食べ物のひとつなので、若い世代にも魅力を知ってもらい、チーズを作って日常的に食べる文化が長く続いてくれればいいなって思っています。

 

チーズの魅力。

――長原さんが思うチーズの魅力を教えてください。

チーズの魅力は「人を幸せにしてくれる」ところだと思っています。食卓にほんの少しチーズがあるだけで豊かなものになります。そして、チーズには旬があるんです。例えば夏の青草を食べた牛のミルクでできたチーズは黄色くなって、冬の干し草を食べた牛のミルクでできたチーズは白くなって風味が穏やかになるんです。チーズの食べ方にも色々あって、夏はフレッシュチーズでさっぱりとした料理に、冬は暖かくフォンデュやラクレットなど。様々な形でいつでも食卓を彩って、幸せを与えてくれるのがチーズの魅力だと思います。

TOYO Cheese Factoryの長原ちさとさんが手がける北海道十勝発のチーズブランド「age」
商品は公式オンラインストアで購入することが可能です。
age公式オンラインストアhttps://age-2020.com/

関連記事

特集記事

TOP