札幌、円山公園駅から徒歩5分ほど。
青い外観が目をひくお店が「フロマジュアユリー エクレレ」です。ヨーロッパ産のチーズを主に扱うチーズ専門店。今回は代表の須藤圭史さんにお話をうかがってきました!
Q.チーズ専門店を始めたきっかけを教えてください。
海外に行ったときに、本場のナチュラルチーズを食べたことが大きなきっかけです。その美味しさに感動して、日本に戻ってきてからも度々チーズの専門店へ足を運ぶようになりました。
本場のナチュラルチーズは、それまで身近だったチーズのイメージとは全く異なり、チーズの概念が一変しました。その奥深さに「こんなにも違うんだな」と驚きの連続でした。そこからどんどんハマり、自分で楽しむだけではなくてみんなにも伝えていきたいなと言うところから始まっています。
本場のナチュラルチーズの魅力とか良さと言うものを、まだまだ知らない方がいらっしゃるんじゃないかなと思って。私自身はチーズを通じて、人生が変わるくらいの衝撃を受けました。
チーズの魅力を知ることは、より食生活を豊かにする大きなきっかけになるのではないかなと考えています。
Q.ヨーロッパのチーズを中心に取り扱っている理由を教えてください。
私たち夫婦の好みがヨーロッパ産のものが多かったということが一番大きな理由です。やはり、チーズと共に歩んだ歴史や文化の年季が違います。
国内市場におけるニーズに比例しているというのはあると思いますが、国産のチーズは今のところ食べやすいものに傾倒している印象です。
それに比べると、ヨーロッパ産のものは親しみやすいものから個性的なものまで幅広く生産・流通されています。
チーズを食べ慣れてくると、もっと香りの強いものとか、もっと味わいのしっかりしたものとか、いろいろ食べてみたくなる方も多いです。お客様のニーズに合わせるには、コクのあるワインや蒸留酒のような強めのお酒とも釣り合うチーズも当然必要です。
多様な品揃えが可能なヨーロッパ産のチーズを店のコンセプトにすることで、様々なお客様のご要望にも寄り添えると考えています。
Q.国産のチーズは食べやすいものも多いとのことでしたが、本場のヨーロッパのチーズは味にどんな特徴がありますか。
まず大きな違いとしては、ヨーロッパでは殺菌されていない生のミルクを使ってチーズを作る伝統が根づいています。
日本国内で生のミルクを使ってチーズを作るのは非常にハードルが高く、殺菌されたミルクを使うのが主流となっています。
殺菌することで味わいが穏やかになる傾向があります。生のミルクだからこそ表現できる風味の豊かさだったり、味わいの奥深さもあります。
ヨーロッパのチーズがバリエーション豊富と言われる理由の一つであり、大きな強みだと思います。
例を挙げると、チーズの王様と言われている「ブリー・ド・モー」、ブルーチーズの王様「ロックフォール」、フランスで一番生産量の多い「コンテ」、イタリアチーズの王様の「パルミジャーノ・レッジャーノ」といった名だたるチーズは、いずれも生のミルクで作られており、それぞれが唯一無二の個性を放っています。
これらが殺菌されたミルクでもし作られたら、全然違うものになるんじゃないかなと思います。
一度食べたら忘れられないほどの個性豊かな味わいを表現するには、単に動物や技術を持ち込んでも同様の味を再現することは簡単ではありません。
なぜなら、目に見えるものから目に見えないものまで、その土地だからこそ整う様々な環境があって、初めて形をなすものです。ですから、どの要素一つ欠けても生まれない味わいです。
どんな特徴と問われると一言では言い表せませんが、特に悠久の歴史の中で人々に愛され続け、現代に残った伝統的なチーズは、人の心を虜にする普遍的な魅力にあふれています。
Q.お店に並べるチーズのこだわりは何かありますか。
なんといっても一番重要なのは味です。
仕入れても納得のいかないものは、決してお客様にお出ししません。
それから、品揃えには有名どころのものはもちろん欠かせませんが、他のお店では手に入りにくい珍しいチーズの存在も意識しています。
ずっとお気に入りが変わらない方もいらっしゃいますが、食べたことのないチーズを試してみたいというお声も多くあります。
私自身も新しいチーズとの出会いは、この仕事の大きなモチベーションの一つにもなっています。
Q.まるでケーキ屋さんのような外観と内観ですが、こだわりなどはあるんでしょうか。
ショーケースには特にこだわりを持っています。
本来、ケーキやチョコレートの陳列向けのショーケースを使っています。
3段くらいになっているショーケースで、中にびっしり商品が詰まっていると一番下だったり奥の方が見えにくいと感じていました。
せっかく個性的なチーズをそろえているのに、選ぶお客様が見づらいのでは台無しですし、丹精込めて作っているチーズの作り手の方々への敬意も足りません。
ケーキ屋さんやチョコレート屋さんを訪れると、見やすさへのこだわりも強く感じますし、ショーケースに向き合ったときの心躍る感覚を大切にするという点では、少なからず影響を受けています。
他業種からそういった繊細さは学びつつ、本場のマルシェの雰囲気も取り入れたかったので、チーズのそばにユーロ表記に似せたプレートも添えて、独自の特徴的な店構えにしています。
Q.エクレレさんならではのお店の特徴はどんなところでしょうか。
やはり1番は商品のラインナップです。
たくさんの候補の中から、ヨーロッパ産の個性豊かなチーズを厳選しています。
ケーキ屋さんやチョコレート屋さんに入った時のワクワクする気持ちを感じていただきたい。チーズを味わっている時間だけではなく、きらきらとしたショーケースを前にしたときからその時間も楽しんでいただけるように心がけています。深い青を基調とした空間で、ゆったりと落ち着いた気分でチーズを選んでもらえると思います。
また、夫婦で営んでいる小さなお店なので、型にハマらないお客様とのコミュニケーションや、行き届いた品質管理は、常に念頭に置いています。
Q.一番人気の商品はどちらですか。
白カビのチーズで「クレムー・ダルジェンタル」が一番人気です。マイルドで塩味と酸味のバランスが良く、リッチなコクがありナチュラルチーズを食べ慣れない方から愛好家まで幅広い層に支持されています。
Q.水牛のチーズも取り扱っていると拝見しました。とても珍しいですね。
私たちがお店を始めた頃は、水牛乳製のチーズといえばフレッシュタイプのモッツアレラくらいなもので、熟成したタイプは道内のお店で見かけたことがありませんでした。
近年、イタリアのロンバルディアでは水牛のミルクを使ったチーズがトレンドになっています。そのような中、需要も高まり、水牛のミルクを使った色々なチーズが作られるようになって、日本でも少しずつ流通してきました。
牛、羊、山羊に続いて4つ目の選択肢としての水牛のチーズが、日本でも少しずつ認知されてきています。
モッツアレラは元々は水牛のミルクで作られていました。しかし、世界的な需要の高まりに応えるには水牛の飼育数は限られているため、牛乳製のものが多く出回っています。
そのため水牛のチーズと言われて、身近な存在に感じている方は一般的にはまだまだ少ないかもしれません。
両者を食べ比べてみると、その差は歴然です。同じモッツアレラでも味の特徴は全く違います。締まった食感で、さっぱりと淡白な味わいの牛乳製に対し、水牛の方はとろけるように柔らかくコクがあり、とてもミルキーな味わいです。
*今回はモッツアレラとはまた違う魅力が楽しめる!イチオシの水牛のブルーチーズ「ヴェルデ・ディ・ブッファラ」を購入しました。
一口食べてみて、「今まで食べたことのない味!」と思いました。
牛とも山羊とも違う、ミルクの味です。
またブルーチーズということで香りがとても強いです。
しばらく鼻と口にいい香りが残ります。
これはワインが欲しくなりますね。
道内ではここでしか買えないチーズがたくさんあり、チーズ初心者の方も愛好家の方も楽しめるお店です。また隣にワインの専門店もあるので合わせてご購入するのもおすすめです。