明日から使えるチーズ雑学〜世界と日本のチーズの起源を紹介〜

チーズを知る

コク深い味わいで、そのままでもお料理に使っても美味しいチーズ。
料理の材料としてはもちろん、お酒にも合うのでおつまみとしても重宝しますよね。

最近はチーズの消費量も年々増加しチーズを使ったスイーツや料理が大きなブームとなっています。若い人を中心にチーズを多く用いた韓国料理の人気も根強く、より関心が高まっていますよね。

今回は「世界と日本のチーズの起源」をまとめました。アラビアの民話から、日本の古来チーズのお話まで紹介しています。

明日から使える知ってると”ちょっと驚かれる豆知識”をぜひお楽しみください。

目次

    1. チーズが生まれたきっかけ
    2. 日本古来のチーズとは〜蘇と白乳酪〜
    3. 古代の日本でチーズがなかなか広まらなかった理由
    4. 【まとめ】チーズのことをもっと知ろう

チーズが生まれたきっかけ

まずはチーズが生まれたきっかけについて紹介します。

チーズは加工食品の中でもっとも歴史が古いと言われています。
最古の起源としては紀元前3500年頃のギルガメッシュ叙事詩にチーズにまつわる痕跡が残っていることから、数千年以上前から歴史が始まっていると考えられています。

チーズが生まれたきっかけは、はっきりとは分かっていないようですがいくつかの起源が言い伝えられています。中にはアラビアの旅商人が発見したという説もあります。

アラビアの旅商人が発見したという内容のアラビアの民話の一節を紹介します。まるでおとぎ話のようなチーズ誕生秘話なんです。

“アラビアの旅商人が乾燥したヒツジの胃袋で作った水筒にヤギ乳を入れてラクダに乗って砂漠を横断する旅に出かけました。 1日の旅を終えて,ヤギ乳を飲もうと水筒を開けると,ヤギ乳は透明な液体と白い柔らかい固まりになっていました。旅商人は透明な液体により喉の渇きが潤され柔らかい固まりにより飢えが満されました。”
(参考:信州大学大学院農学研究科 大谷元 チーズの起源と歴史よりhttps://core.ac.uk/download/pdf/148775574.pdf)

アラビアの民話ではチーズは偶然に発見されたということが分かります。ヤギ乳が旅の過程で長時間シェイクされ偶然チーズになったんですね。

日本古来のチーズとは〜蘇と白乳酪〜

日本に乳製品がもたらされたのは渡来人によってだと言われています。仏教文化をもたらした渡来人は乳製品を多く食べていたと言います。

乳製品が日本に伝わり、最初のチーズとして知られている日本古来の「蘇(そ)」と呼ばれるものをご存知でしょうか。「蘇」とは牛乳を長時間煮詰めて作るチーズのこと。「蘇」はご時世柄、お家時間が長くなった際に農林水産省が牛乳の消費を呼びかけたことがきっかけでSNSで流行しました。

日本最古のチーズの「蘇」の誕生に関しても諸説ありますが、一節では飛鳥時代の西暦562年頃から日本で作られていたとされています。

詳細が記録されている文献は数少なく謎が深い食べ物でもあります。新潟大学の論文によると
“「延喜式」などに「作蘇之法。乳大一斗煎.得 蘇大一升」とその製法が記載されている乳製品である”(新潟大学教育学部新潟大学農学部/著者:斎藤瑠美子,勝田啓子/「延喜式」 に基づく古代乳製品蘇の再現実験とその保存性よりhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/40/3/40_3_201/_pdf/-char/ja)とのこと。

つまり「蘇」を作る方法は乳を一斗煎じて一升の蘇が得られるとしか書かれていないのです。一斗は十升のことなのでカンタンに言うと牛乳を10分の1になるまで煮詰めたら「蘇」になるという認識ですね。このことからも相当な時間煮詰めるということが分かります。私がフライパンで作った際には3時間煮込み3時間冷やしてやっと「蘇」が完成しました!

作るのに時間がかかる「蘇」は神に捧げたり、貴族が楽しんでいたものと考えられて言います。「蘇」の馴染みのない味わいや滋味は天皇や貴族達の美容のために好まれたとか。また、病人にとっては高栄養で薬効も期待されていたようです。ですが、超高級食材であった「蘇」は庶民には広まらず次第に作られなくなったとのこと。

次にチーズが広まったのは江戸時代でした。「白牛酪(はくぎゅうらく)」というチーズが作られましたが名前が違うだけで内容は「蘇」と同じ。牛乳を長時間に詰めて作るものでした。ですが「蘇」と異なる点は砂糖が加えられているという点です。砂糖が加えられているので「蘇」よりもさらに甘い味わいで現代で言うキャラメルのような風味が楽しめるとのこと。

最初は誰もが知っているあの徳川家に献上品として差し出すためにつくられていた「白牛酪」。後に医師の桃井源寅(もものい みなもとのいん)は「白牛酪考」という本を出しています。この本は徳川家斉に書かされたもので「白牛酪」を広く広めるためのものでした。このおかげもあって将軍中心に広まった「白牛酪」でしたが、庶民にも滋養強壮や若返り効果があるとされ好まれ、栄養補給のためにも食べられていたと言われています。

余談ですが、この徳川家斉は子どもがなんと55人もいたと言われています。これは栄養満点のチーズを食べていたからかもしれません。本当のことはわかりませんが55人も子どもを作らたワケはチーズの滋養強壮のおかげだったのかも。

古代の日本でチーズがなかなか広まらなかった理由

手間暇が必要な「蘇」や「白牛酪」がチーズの起源だったことからも、日本でチーズが馴染みのある食材になるのにはかなりの時間がかかったことが分かります。

日本でのチーズ造りは戦後まで主流にならなかったとも考えられています。信州大学大学院農学研究科によると”日本ではウシを飼ってもその乳を利用するという発想はなく,ウシは農耕のための役畜として考えられていたからである。”
(参考:信州大学大学院農学研究科 大谷元 チーズの起源と歴史よりhttps://core.ac.uk/download/pdf/148775574.pdf)とのこと。

日本では魚を中心として醤油、味噌などの発酵食品を用いた食風が江戸時代以降も長く続きました。牛乳への関心の深さや食文化の違いにより日本ではチーズ造りが広まるまでに時間がかかったようです。

今から90年前の昭和初期には現在の雪印メグミルク株式会社がチーズの製造、販売を始め庶民にも馴染みの食べ物になり急激に消費量も増えたそうです。

その後ワインブームやピザやチーズケーキの普及によって私達の食生活にはチーズが必要不可欠なものとなりました。今ではスーパーやデパートはもちろんコンビ二でも気軽にチーズが入手できます。

日本のチーズの歴史は古くからありましたが、馴染みのものになるまでかなりの年月がかかったことが分かりますね。

【まとめ】チーズのことをもっと知ろう

いかがだったでしょうか。今回は美味しいチーズをもっと楽しむための雑学として世界と日本のチーズの起源を紹介しました。

日本でも古くから楽しまれていたチーズは今も私達の食生活をより豊かなものにしてくれています。

チーズの起源を知っている人はなかなかいないので、ぜひ皆の前で披露してみてくださいね。種類も豊富な味わい深いチーズは、歴史を知ることでもっと深く楽しめるようになりますよ。

みなさんのチーズライフがより楽しいものになるよう、この記事が参考になれば幸いです。

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